公益財団法人 イオンワンパーセントクラブ

イオン エコワングランプリ

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過去の受賞活動

特別ページ/若い力で解決!地域の環境を守る高校生のエコ活動/環境問題への関心が世界的に高まる現在、高校生もさまざまなエコ活動に取り組んでいます。昨年行われた、第7回イオン エコワングランプリで受賞した高校の取り組みは、よりよい地球環境保全につながるエコな活動です。高校生のみなさんで力を合わせて、エコ活動に取り組んでみませんか?

研究・専門部門

宮城県農業高等学校農業経営者クラブ

地域の課題から発想。廃棄スギ樹皮の再利用でエコな土壌改良材を開発

地元、楽天生命パーク宮城球場に設置するプランターにバジルを植える生徒

宮城スギを守るために

宮城県農業高等学校が、宮城スギの樹皮を使った土壌改良材を開発したきっかけは、地域の森林組合から「宮城スギを守るのを手伝ってほしい」と相談を受けたことでした。

間伐作業で発生する大量の樹皮を廃棄するだけでなく効率的に利用できないか、とクラブ顧問の山根正博先生と生徒たちは、研究を始めました。まず樹皮に大量に含まれる炭素を効率よく畑に入れることで土壌改善を促進すると理論を構築。次いで窒素飢餓にならないよう樹皮を完全発酵させる方法を考案しました。こうして試験を続け、短期間での完全発酵に成功。有機的で、環境に配慮した土壌改良材「イデアルグリーン」を、わずか2年で開発しました。

ところが、イデアルグリーンを混ぜた土が乾くと、樹皮の持つ油分が水をはじいてしまう問題が生じました。プランターで育てると、苗が浮いてきてしまうのです。そこで、土とイデアルグリーンを配合する割合の実験を繰り返し、土に対して30%のイデアルグリーンの割合が最も扱いやすく、なおかつイデアルグリーンの効果が発揮されることを発見し、一般農家でも使用できるエコな土壌改良材として認められました。

エコ活動を発信してもっと盛り上げたい

昨年度のイオン エコワングランプリでは、廃棄するスギ樹皮から実用的な副産物を生み出したことが評価され、内閣総理大臣賞に輝きました。顧問の山根先生は「間伐材の問題を広めることを目的に参加しましたが、大会を通じて生徒たちは大きく成長しました。プレゼンテーションの場でも、物怖じせず発表する姿に感動しました。受賞したことが励みになり、エコに対する意欲がさらに高まっています」と受賞後の生徒の様子に喜びました。活動を続けてきた生徒は、「エコ活動を発信することで、共感してくださる方からの反響を得られました。若い力で、今後もエコ活動を一緒に盛り上げていきましょう」と、大会への参加を呼びかけています。

スギ樹皮を使った土壌改良材「イデアルグリーン」

今後は普及活動を中心に活動

現在は、イデアルグリーンの普及活動を中心に行っています。昨年から、10月に宮城県内で開催される東北宮城復興マラソンのコース脇に、コスモスを植える「オレンジロード」の活動を始めました。津波の被害を受けたマラソンコースに、イデアルグリーンを使ってオレンジのコスモスの種を植え、1万5千人のランナーを迎えるといったものです。活動に取り組んでいる生徒は、「昨年は主催の仙台放送の方がとても喜んでくださり、今年もオレンジロードを行うことが決定しています。津波で流されてしまった風景に、少しでも彩りを与えられたらうれしいです」と、意気込んでいます。

今回の宮城スギの樹皮を使った土壌改良材の取り組みは、森だけでなく、災害から町を守ることにも直結しています。顧問の山根先生は、「木々を間伐すれば森は豊かで強固なものとなり、災害にも強くなる。さらに、森が管理されるようになればミネラル分が豊富になり、農作物にも良い影響を与える。つまり、森林を守ることは地球を守ることにつながるのです」と、活動を続ける意義を語りました。

イデアルグリーンを使ったバジルの生育について語る山根先生と生徒たち

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