イオン エコワングランプリ

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過去の受賞活動

全国から選ばれたこれまでの受賞校をご紹介。
エコ活動のヒントが見つかるかも!?

第8回(2019年度)グランプリ校の取り組み

内閣総理大臣賞+ベストプレゼンテーション賞

普及・啓発部門

鈴鹿高等学校[三重県]SOM

海岸清掃と海の生き物ロボットを使用した環境教育活動

  • 活動内容
    背景
    地元の海岸に多数のゴミが漂着するので、月に1度の海岸清掃と環境教育活動を行っています。環境教育活動では、地元の海に生息する生き物の自作ロボットを使用します。
    取り組み
    海岸清掃は、活動する海岸の選定から、市への申請、活動の告知、当日の運営、報告まで、すべて活動メンバーだけで行います。また、ごみ問題を身近に感じてもらうために、スズキやハセイルカといった地元の海の生き物をリアルに再現したロボットを製作し、環境関連イベントや幼稚園での環境教育活動で使用しています。
    結果
    校内で活動内容を発表したり、テレビ局の取材を受けたりすることで、認知度を高めることができ、清掃活動の参加者を増やすことができました。環境教育活動にロボットを使用することで、主に子どもの興味を引き付け、ゴミ削減の意識を持ってもらうことができました。
    質疑応答
    Q
    環境活動に参加するのは、大抵興味がある人たちだけ。興味のない人へのアピール方法は?
    A
    WebサイトとSNSを駆使して、活動内容を周知しています。また、海岸清掃やロボットを使用した環境教育が実際にどの程度効果があるのかを調査し、効果のデータ化に取り組んでいます。
    Q
    清掃活動をしていると、ゴミを捨てた人に対する怒りを感じませんか?
    A
    正直とても腹立たしい気持ちになりますが、その気持ちを原動力にして頑張っています。
    審査講評

    世界的に大問題になっている廃プラスチック問題について、海岸の掃除だけでなく、手作りのロボットを使って普及したことが大変面白かった。発想豊かな高校生らしいアプローチで、全国の高校生の発想力を触発する取り組みだった。

  • 発表者
    左:落合真弘さん(2年)
    右:大谷和生さん(2年)

内閣総理大臣賞

研究・専門部門

岐阜県立多治見高等学校 地域探究部

高校生にできる小さな自然再生を通した川づくり

  • 活動内容
    背景
    地元の土岐川や支流で、ウナギなど底生魚の減少が報告されました。そこで魚類多様性の増加を目的に、河川基金の援助を受けて高校生にできる自然再生方法を検証。過去2年間の成果で、川底を掘って部分的に水深を深くすることで、河川内に生息する魚の種類が増えることが分かりました。一方、時間とともに土砂が堆積し、元の川底に戻ってしまうという課題も残っていました。
    取り組み
    今年度は実験河川に手で運べる大きさの石を積んで川の流速を変え、川底への土砂の堆積状況を複雑にしました。人が継続的に手を加えなくても、変化に富んだ川底の形成が促進され、多様な河川環境が出来上がるような石の置き方を検証しました。
    結果
    検証開始から1カ月で、目標に設定したウナギが住み着き、トウカイコガタスジシマドジョウやマドジョウ、カマツカなどの底生魚の増加や、流れのある場所を好むオイカワの生息を確認しました。部分的に深い場所を作るよりも、今回の石を積む方法の方が自然再生への効果があり、作業を行う労力も小さく、継続しやすいといえます。
    質疑応答
    Q
    今回の成果で得られた、川の魚を増やすうえでのポイントは?
    A
    底生魚に注目して実験をしました。川の中心よりも縁側に石を置いた方が、砂がたまりやすいことが分かりました。これは底生魚にとって住みやすい環境なので増やしていきたいです。
    Q
    川の流れを変えることによるデメリットはありませんか?
    A
    私たちの活動は、重機などは使わず自分たちの手だけで行うため、川の治水や利水にデメリットがあるほどは流れを変えません。大雨などの時には、積んだ石が流されてしまいますが、すぐに作り直せるという利点があります。
    審査講評

    高校生らしく、地域の小さな川の問題から環境問題を考えている。自分の身近なところに取り組むべき問題はたくさんあることを伝え、行動を起こすことの大切さを伝えた非常に良い例である。高校生のみなさんには、いきなり難しいことを考えるのではなく、目の前のことに問題意識を持ってもらいたい。

  • 発表者
    左:後藤優斗さん(2年)
    右:山本ひなたさん(2年)

文部科学大臣賞

普及・啓発部門

長野県白馬高等学校 輝ラボ

グローバル気候マーチin白馬

  • 活動内容
    背景
    スウェーデンの高校生グレタ・トゥーンベリさんが始めたグローバル気候マーチを知り、環境問題への危機感を抱きました。そこで、大好きなウィンタースポーツを続けたいという思いと、自然環境に恵まれた白馬村こそがリーダーシップをとり気候危機対策に取り組むべきであるという考えのもと、気候マーチを企画しました。
    取り組み
    気候危機に対して今すぐ行動を起こしてもらうために、気候マーチのテーマを「Do it now」に決定。SNSを通じてマーチの趣旨、日時、場所を告知しました。当日は、「Do it now」と書いたプラカードを掲げながら、120人の参加者とともに村役場を訪れ、気候非常事態宣言の発令を求める要望書と署名を村長に提出しました。
    結果
    120人という参加人数は、マーチを行った国内23都市の中でも7番目に多く、?小さな村の大きなマーチ?となりました。要望書を受け取った村長からは、「議会で検討する」と前向きなコメントをいただき、2019年12月4日に日本国内3番目の早さで、白馬村気候非常事態宣言を発令。さらに、長野県も気候非常事態宣言を出しました。
    質疑応答
    Q
    活動を広げるための戦略は?
    A
    いかに現状が大変で具体的にどんな対策が必要かと説いても、一般の人には興味を持ってもらえない。「楽しそうだな」と感じてもらえる雰囲気で、気候危機を知ってもらいたいと考えています。
    Q
    2019年11月29日のグローバル気候マーチのときも、白馬村で行ったのでしょうか?
    A
    11月は、マーチの代わりにチャリティバザーを開催し、高校生や環境意識が低い人にも楽しんでもらえるようにしました。
    審査講評

    若者が世界中で声を上げている中で、世界の同世代の動きを素早く把握し、すぐ行動に移したことが素晴らしい。

  • 発表者
    左:金子菜緒さん(2年)
    中央:手塚慧介さん(2年)
    右:宮坂雛乃さん(2年)

環境大臣賞

研究・専門部門

香川県立多度津高等学校 海洋生産科 食品科学コース

ハマチの中落ちを有効利用する試み

  • 活動内容
    背景
    2018年に香川県のハマチ養殖が90周年を迎えたのを機に、県水産課から加工食品の開発依頼を受けました。ハマチを含むブリ類は日本で最もポピュラーな海面養殖魚類ですが、骨が太く、特に中落ち(背骨)部分のほとんどは産業廃棄物として捨てられています。
    取り組み
    「骨まで食べられるハマチの照り焼き風レトルトパウチ食品」を開発。常温保存でき、太い骨まで食べられる切り身のレトルトパウチ食品は、イベントや地元スーパーなどで好評を博しました。続いてほとんどが背骨の、中落ちを使った食品を開発し、地元の行事で販売しました。
    結果
    ハマチの太い骨をやわらかく加工して食用にできる技術を確立し、高評価の中で、商品化を達成しました。中落ちを加工した食品も2日間で200パック完売した実績から、これまで廃棄されていた中落ち部分も、食品として有効活用できる可能性を示すことができました。
    質疑応答
    Q
    ハマチ以外の魚にもこの技術を応用できるのですか?
    A
    新商品としてハモのレトルトパウチ食品を開発し、地元のスーパーで販売しました。ハモは小骨が多く食べにくいのですが、高温・高圧処理することで小骨が全く気にならなくなります。
    Q
    調理でカットしたヒレも再利用できるのですか。
    A
    現段階ではヒレは処分しています。今回いただいた意見や他校の取り組みから学んで改善していきます。
    審査講評

    今大きな問題になっているフードロスにスポットを当てた活動で、本来捨てられていた部位を食べられるように加工するという方法で、問題解決に取り組んでいる象徴的な活動だった。

  • 発表者
    左:牛田颯さん(3年)
    右:井上潤也さん(3年)

審査員 末吉竹二郎 特別賞

普及・啓発部門

大阪府立園芸高等学校 ビオトープ部

蝶の飛ぶ街づくりをめざして

  • 活動内容
    背景
    本校では、蝶が飛来、産卵し、成虫になるまで過ごすバタフライガーデンを製作しています。バタフライガーデンで必要となる食餌植物と吸密植物は、ほとんど市販されていません。そのため、野山で種子を採取し、プラグトレイを使用して播種することにしました。
    取り組み
    プラグトレイで播種することで、発芽率は約40%と低く、栽培までに1年以上要することが分かりました。活動内容を発信する手段として、日本昆虫学会や科学コンクールに応募し、多数入賞しました。また、食餌植物の植栽や昆虫調査を、小学生に体験してもらっています。
    結果
    成長した食餌植物の苗は、企業、公共団体、学校などに無償で配布し、バタフライガーデンを製作いただいています。これらのバタフライガーデンはビオガーデンとしても機能し、多くの子どもたちに昆虫と触れ合う場所を創出することができました。
    質疑応答
    Q
    生物多様性についての教育活動は、どのように行っていますか?
    A
    小中学校での出前授業や、地域と連携した昆虫の観察会を行い、まずは生き物を好きになってもらうようにしています。
    Q
    この数十年で、蝶だけでなく蛾、蜂など他の生き物の数も減少しています。バタフライガーデンがもたらす、蝶以外の生き物への影響は?
    A
    部分的には影響はあると思いますが、バタフライガーデンでは、絶滅危惧種の蝶や、その地域では見られなかった蝶が定着したケースが確認できています。
    審査講評

    この地球上では、人間は多くの生き物と一緒になってこそ初めて人間らしく生きられる。そのことに気づかせてくれる素晴らしい活動だった。

  • 発表者
    左:薩摩祐太さん(1年)
    右:梅尾菜々香さん(2年)

審査員 C.W.ニコル 特別賞

研究・専門部門

愛媛県立上浮穴高等学校 森林環境科 カホンプロジェクトチーム

森の想いを音色にのせて ~カホンを用いた森林環境教育の実践~

  • 活動内容
    背景
    日本の森林は伐採の遅れが顕著で、維持が難しくなっています。森林の機能を十分に発揮してもらうためには、持続的な管理が欠かせません。そこで、国内の木材利用の推進を含めて、森林の現状について啓発する活動を行っています。
    取り組み
    演習林にて科学的な森林評価を行い、適正な林分布度になるよう間伐を行いました。また森林や林業、木材に興味を持つ人を増やしていくために、ペルー発祥の木製打楽器「カホン」を用いた活動を継続。地元産のスギを材料にしたカホンづくりのワークショップや、演奏を通して、楽しみながら日本の森林の現状について知っていただいています。
    結果
    カホンづくりにCO2を吸収した木材を用いることで、これまでにレジ袋45万枚相当のCO2を空気中に出さず、固定してきた計算になります。同時に木材利用をすすめることになり、森の循環に貢献しています。この取り組みは新聞、テレビ、ラジオでも取り上げられ、より広く森林の問題をアピールすることができました。
    質疑応答
    Q
    木製品は燃やされれば、閉じ込めていたCO2は空気中に放出されます。カホンを末永く使ってもらえるアイデアはありますか。
    A
    カホンは箱形の打楽器という特徴があります。もし楽器として使わなくなったとしても、椅子や物を置く台などとして家庭の中で使っていただけるとありがたいです。
    Q
    カホンだけではなく、もっと付加価値の高いものに発展させる戦略はありますか。
    A
    カホンは楽器が好きな人の間で最近人気が出てきていますので、まずはカホンを中心にしてどんどん発信していきます。そして活動をここまでで終わらせないように努力していきます。
  • 発表者
    左:山之内野々花さん(1年)
    右:池田隆之助さん(3年)

審査員 五箇公一 特別賞

普及・啓発部門

オイスカ高等学校(静岡県) ワールドキャリアコース

浜と松プロジェクト

  • 活動内容
    背景
    浜松市にある中田島砂丘は、年間約5m浸食されています。加えて、防潮堤を設置する工事により、海岸林が大幅に伐採されました。このような砂丘に関するさまざまな課題を解決する糸口は、私たちが関心を寄せることだと考え、保全活動とともに啓発活動が必要だと感じました。
    取り組み
    浸食の実態を調査するために、砂の移動状況を観察し、堆砂垣を設置。4年前からは、外部機関で学びながら海岸林を植栽するほか、放置された海岸林の間伐、枝打ちなどを行い、丈夫な松に育つよう管理しています。また、清掃活動や生態系調査、小中学生を対象とした環境学習講座の開催を行い、「災害に強い、美しい海岸線」を目指して活動しています。
    結果
    これまでで、抵抗性遺伝子クロマツの苗を500株育苗。海岸の清掃活動は月に1~2回行っています。地元の人を対象とした砂丘音楽ライブ&クリーン活動は、今年で12回目を迎えました。毎回トラック2台分のゴミを回収します。参加者は年々増加しています。
    質疑応答
    Q
    国や自治体などから、厳しい制約などを突き付けられることは?
    A
    防潮堤での植栽に私たちが栽培したクロマツを使っていただくなど、私たちが自治体の助けになっていると実感できているので、厳しさや圧力は感じていません。
    Q
    クロマツの植栽でどんなことを学びましたか?
    A
    市民や大学教授との討論により、マツクイムシを駆除しなければクロマツがすぐ枯れてしまうことが分かりました。
    審査講評

    景観を大切にするということは文化の基盤を保全する上での重要な課題。そこに着眼したすばらしい活動だ。

  • 発表者
    左:田中悠弥さん(3年)
    右:呉 遙佳さん(3年)

審査員 吉川美代子 特別賞

普及・啓発部門

出雲西高等学校(島根県) インターアクトクラブ

出雲発!海岸清掃及びマイクロプラスチック問題を考える

  • 活動内容
    背景
    41年前から年5回の海岸清掃の活動を継続しており、この10年は海を接する日韓の中高生同士で交流しながら、海洋ごみをテーマに討論も行ってきました。近年は活動を一歩進め、マイクロプラスチックの問題にも取り組んでいます。
    取り組み
    海岸清掃で韓国・北朝鮮・中国・ロシアのごみが6割以上を占めていたことから、10年前より韓国の中高生を招待。海岸清掃やごみを減らすための討論会、文化交流を通して、理解を深め合っています。討論会で世界的に懸念されているマイクロプラスチックの話題が出たことをきっかけに、地元の海岸にてマイクロプラスチックの実態調査も行いました。
    結果
    韓国の中高生は自国の漂着ごみが多いことを知り、帰国後に啓発活動を行ってくれるようになりました。最近では海岸で見かける韓国のごみが少しずつ減ってきています。マイクロプラスチックの実態調査では、清掃活動が少ない海岸ほどマイクロプラスチックが多量に存在することが分かり、地元新聞の一面にも掲載されました。
    質疑応答
    Q
    プラスチックごみ削減に向けて、学校内でどんな活動をしていますか。
    A
    レジ袋をもらわない、マイバッグの持参、ペットボトルの分別などを呼びかけています。
    Q
    韓国の若者との交流はこれからも続いていきますか。
    A
    交流が始まって10年間続いています。これまで韓国から日本に来てもらっていましたが、来年の夏は、私たちが韓国に行こうと準備しているところです。
    審査講評

    韓国の中高生との交流から、成果がしっかり出ている活動だった。

  • 発表者
    左:小畑凜久さん(2年)
    右:飯島章太さん(2年)

「エコの環」賞

研究・専門部門

沖縄県立沖縄水産高等学校 海洋生物系列

ヒラミレモン搾汁残渣を利用したフルーツ魚の開発

  • 活動内容
    背景
    沖縄県では、魚類の養殖が衰退傾向にあります。また、小型在来柑橘ヒラミレモン(シークヮーサー)は、ジュース以外での新たな利用方法や加工技術の開発が課題となっています。この二つの課題を解決するために、柑橘類のエキスなどを加えた配合飼料を給餌するフルーツ魚の開発に取り組みました。
    取り組み
    県内の魚類養殖業者と共同で、需要の高いマダイにヒラミレモンの搾汁残渣を混合した配合飼料を給餌したところ、ヒラミレモンの香りにより魚臭さを消し、おいしくなる効果を確認できました。2019年度にはスギへの給餌を行い、スギのほうがマダイよりも短期間で非常に高い効果が出せることが分かりました。
    結果
    枯渇する天然資源に依存しないブランド養殖魚の開発とヒラミレモンの有効活用、その両方を実現することができました。開発したシークヮーサーマダイ(仮)は、ホテルや居酒屋などへ出荷されており、高い評価をもらっています。
    質疑応答
    Q
    沖縄県では、養殖全体のわずか約3%が魚類ということですが、昔はどうでしたか?
    A
    沖縄県では、以前から養殖が盛んではありません。
    Q
    養殖業のなかには、持続可能でないものもあります。養殖に対する見解は?
    A
    今後、漁業は伸びないと考えているので、養殖業で漁業を成り立たせたいと思っています。環境に良くない漁業は、業者の方がしっかりメンテナンスするべきだと思います。
  • 発表者
    左:上原涼音さん(3年)
    右:山城里衣菜さん(3年)

エコワン活動賞

研究・専門部門

東京都立農業高等学校 神代農場部

都市部における里山保全の活動と取り組み

  • 継続年数:約22年9ヶ月

    活動内容
    背景
    生物多様性の豊かな里山環境は全国的に減少し、東京都の都市部では数えるほどしか現存していません。そうした中で実習にも使う農場は、都市部の立地ながら湧水や雑木林といった古くからの里山環境が残っていることから、保全の取り組みが始まりました。
    取り組み
    絶滅危惧種であるゲンジボタルを保護するため、水路整理と天敵であるアメリカザリガニの駆除を実施。また群生するカタクリを保全しようと、生育に適した環境の調査、自然受粉の程度を知るための結実調査を行うとともに、里山に関心を持ってもらうため、農場の一般公開を実施しました。
    結果
    ゲンジボタルの生育数は順調に増加が続いています。カタクリについては本年度までに生育に適した条件が判明。農場内の群落から種子採取が可能になれば、付近の公園などに苗を広げていくこともできるでしょう。一般公開では間伐した竹を用いた階段などが好評で、竹炭も売れ行きが良く、里山に関心を持っていただくことができました。
  • 発表者
    左:林 亜弥さん(2年)
    右:鈴木結美子さん(2年)